野菜と化学の話 : 赤い大根の色素について
赤い大根
よく見かける大根と言えば 大抵は白色や首の部分が緑色のものが多いですね。でもそれ以外に赤い大根というのもあったりします。赤い大根の種類はいろいろとあるようですがここでは細かい話は割愛し、その赤い成分について見ていくことにします。下の写真は赤い大根を薄切りにしたもの。これは皮から中身まで赤い大根です。赤いと言うより紫色に近いですね。この大根は根だけでなく葉の茎の部分にも赤色が出ていました。
赤い大根の薄切り |
ハツカダイコン |
赤い色の正体は?
この赤い大根の赤色、ちょっと調べてみるとアントシアニンという物質によるもののようです。自然のものは何かと複雑なので他の物質も関連してるのかも知れません。今回はあまり難しく考えずに、とりあえずアントシアニンについてだけ見ていくことにしましょう。アントシアニンとは
アントシアニンは単一の物質を示すのではなく、あるカテゴリーの物質の総称。まず植物の花や果実の赤、青、紫などの色の物質はアントシアンと総称されるようです。そのアントシアンのうち、配糖体のアグリゴンがアントシアニジンであるもののことをアントシアニンと言うようです。専門用語やら似たような名称やらでなんだかややこしいですね。なかなかに分かり難いですが、それぞれ簡単に解説していきます。
配糖体とは
配糖体とは「糖」に「非糖部(アグリゴン)」がグリコシド結合により結合したもの。括弧書きで書きましたが、非糖部のことはアグリゴンとも呼ばれます。- 配糖体 = 糖 + 非糖部(アグリゴン)
アントシアニジンとは
アントシアニジンとはフラボノイドに属するもの。種類は多数なので詳しくは割愛。適当にまとめると
アントシアニジンを配糖体の非糖部(アグリゴン)としているものがアントシアニン、ということになるわけです。またアントシアンについては色素の総称であったり、アントシアニンとアントシアニジンを含めた呼び方だったりするようです。
アントシアニンの性質
アントシアニンは水やアルコールには可溶。なので、赤い大根を水で煮ると下の写真のように赤色が煮汁に溶け出してきます。赤い大根を煮た煮汁 |
また、アントシアニンはpHによっても色が変化します。
- 酸性 : 赤色
- 中性 : 淡紫色
- アルカリ性 : 青や緑
赤大根の酢漬け
酸性で赤色がより際立つので、赤い大根を酢漬けにすると酢の酸により赤くキレイに仕上がります。酢漬けにするときは大根から水分が出るので、水は入れずに酢だけを用います。甘酢にしたい場合はお好みで砂糖の量を調整して下さい。日持ちさせたい場合は一度酢を煮立ててそこに切った赤大根を入れるといいでしょう。煮立たせることで酸味もややトゲが無くなります。自分が作ったときの分量は
- 赤大根 : 500g(2〜3個)
- お酢 : 100mL
- 砂糖 : 大さじ2〜3杯
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