心の鎖

もう決して傷付かないように自らの手で縛り付けてきた心の鎖。
そうだ、こうやって自分の心を押さえつけて何もできなくしてしまえば、これ以上傷付くことなんてなくなる。
もう十年以上の間、心を縛り上げ続けてきた鎖。

もうどうやっても剥がすことのできないこの鎖。引き剥がそうとしても、心に癒着していて剥がせない。無理に引き剥がそうとすれば癒着している心がズタズタに引き裂かれる。
もう傷付きたくない。だからこのまま一生鎖とともに生きていこう。

でも、こうやって縛っている自分は本当の自分なのだろうか?そんな自分に生きる価値などあるのだろうか?
いや、ない。

結局、傷付くのが怖くて逃げ続けていても何も変わらなかった。どんどん、引き返せない道に迷い込んで行くだけだった。そして、もうこのまま生きていてもなんの価値も理由もない。



だけど、本当にこの鎖は剥がせないのだろうか?

そんなことはない。自分で縛り上げ続けてきた心の鎖。すべて自分でやったこと。だからこそきっと自分の手で引き剥がすことができるはず。
きっと、剥がすときには心がズタズタになるかもしれない。
剥がしてしまえば、また傷付くのかもしれない。傷付くのが怖くて、また鎖で自分を縛ってしまうのかもしれない。

だけど、もう一度、もう一度だけ自由になれる自分を取り戻せるのなら、どんなに苦しくても、どんなに辛くてもこの鎖を剥がしてしまえるはず。そう、自分を取り戻すために。

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