[短篇] わたしはいらない子なの? - とある二人の物語-

 ねぇ、いつからわたし達はこんなにも違う運命を歩むことになっちゃったのかな?小さい頃からずっと一緒。幸せなとき、辛いとき、どんなときだって一緒に生きてきたのに、最後の最後でこんな別れをするなんて悲しいよ…。

 でもね、わたし、初めから分かっていたんだ。わたし達は離れ離れにならなければならないことに。分かっていたのに、やっぱりその時が来るのは辛すぎるよ…。

 わたしはね、ずっとあなたのことを守ってきた。たとえどんな辛いことがあっても、わたしが前に立ってあなたのことを守ってきたの。もう、身も心もボロボロだけど、あなたを守ることがわたしの役目。こればっかりは、どうしようもないんだよね。わたしの運命みたいなものだから。でも、あなたが幸せに育っているのが、本当にうれしかったんだよ?わたしが傷ついただけ、あなたは幸せになれる。

 でも、最後のこの時、あなただけが幸せになってしまう…。そして、わたしは…、そうわたしは、いらないゴミのように捨てられてしまう…。なんで?ねぇ、なんであなただけが幸せになるの?ずっと守ってきたわたしが、なんでこんな風にされてしまうの?

 こうなるのは分かっていたけど、やっぱり辛いよ。こんなにボロボロになるまで、あなたのことを想ってきたのに、結局は最後にわたしだけ捨てられる運命なんて…。

 …ごめんなさい。これ以上、考えていると、大切に守ってきたあなたのことがどんどん憎くなってしまう…。黒い感情で心が埋め尽くされてしまう…。でも、こんな心まで酷くなったわたしなんて、捨てられて当然なのかもね…。そうだね、もう考えることは辞める。最後に、一番最後にあなたの姿を見て、そうして、さよなら、しましょう。

ばいばい。




<終わり>

主人公は「バナナの皮」です。「あなた」というのは「バナナの中身」。
バナナの皮の気持ちになって書いてみると、
うぅぅ、バナナの皮の運命が切なすぎる…(泣)。

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